カテゴリー: 法廷尋問

  • 法廷尋問で思う、事実の食い違い

     

    テープ起こし業務に携わっていると、法廷での尋問なんていうなかなか普段の生活では関わることの少ない(また関わることがないほうが平和な)内容の原稿作成をします。

     

    原告と被告で事実関係が異なることというのが、これは結構あるんです。

     

    不思議だと思いませんか?

     

    事実って、本来ひとつじゃないですか。

    でも、なぜか原告と被告の尋問から出てくる事実が異なっていることがあるんです。

     

    この原因はなんだろうと、ちょっと考えてみました。

     

    その1

    原告または被告が本当のことを言っていない

    尋問では、はじめに真実を述べることを宣誓します。

    ですからこれは、偽りの真実を述べているということになりますね。

    人間の業たるや、こわいものがあります。裁判に勝つためにという思いが強く表れているのでしょうか。

     

    その2

    原告も被告も本当のことを言っていない

    これも同様ですが、その1と異なるのはどちらも偽りの真実を述べているということになります。

    当事者双方が偽っていますと、これはもうなんだか真実の原型がよくわからなくなってしまいます。まるで、釣り糸がからまって、ええい、どうしようという状態です。

     

    その3

    原告また被告が事実を勘違いしている

    これは考えられることだと思います。

    事件、事故当時の状況など、一瞬の出来事やよくわからない状態で起きたことなど、記憶を辿ってみて覚えていることでも、実際に起きたこととは違っていても、それはそれでありえますね。

     

    その4

    原告も被告も事実を勘違いしている

    これはその2と似通っていますが、当事者双方が本当のところを知らないという意味では、なかなか真実を見出すのは難しい気がします。

     

    その5

    原告または被告、もしくは双方が、法廷という慣れない場に大いに緊張して、自分で何を話しているのかよくわからなくなっていた

    これもありそうですね。

    司法に携わる方や何らかの理由で長期にわたる裁判を抱えている方でないと、「裁判や調停に慣れている」という人はあまりいないと思います。

     

     

    私たちが、平素、作成している原稿は、日常生活に近いものや法人や個人の金銭トラブルが多いですから、なかなかテレビや新聞で大きく取り扱われている訴訟のことはわかりかねますが、作成のなかで感じるのは、概ねこういったところです。

     

    きっと、ほかにももっと理由がありそうですね。