カテゴリー: 会議・理事会・総会

  • 団体交渉 録音のコツ

    団体交渉の録音・録画の重要性は法律事務所様のウェブサイトに詳しいのでそちらに任せるとして、

    当社の議事録作成の立場として、録音のコツについてお伝えしたいと思います。

     
    録音と言っても難しいことはなく、ICレコーダーを用いて録音していただくだけです。

    しかし、そのICレコーダーの機能によっては、うまく収録できないケースがありますので、注意が必要です。

     
    1,収音の能力

    どのICレコーダーも見た目は同じですが、機種によって収音能力がかなり異なります。

    一般に販売されているものですと、8kbps~320kbps、または、60Hz~20kHzまでの幅があります。これが、たとえば、128kbpsやそれ以下の場合は、収音の能力は高くなく、会場の状況にもよりますが、不十分な議事録しか作成できない可能性が出てしまいます。

    この数字が高いほど収音の能力が高いとお思いいただくとよいでしょう。(ほかにも要素はありますが、ここでは簡略化してお伝えしています)

     
    2,収音の方向

    収音する範囲が、そのICVレコーダーを基準に90度なのか180度なのか、あるいは360度なのか。これを指向性と言いますが、指向性が90度しかないのに、ICレコーダーの反対側から発生される声がある場合、それは、ものすごく遠くから聞こえるような収録状況になります。マイクがその発言者のほうに向いていないからです。そうすると発言内容が明らかになりませんので、議事録に載せることができなくなります。
    一番良いのは無指向性、つまり360度で、少なくとも180度はあったほうが円滑です。

     
    3,ICレコーダーの台数

    団体交渉の構成は、会社側と労働組合側で分かれていますが、一般にはそれぞれ複数人ずつの出席者となるはずです。

    この場合、高性能のICレコーダーであっても、1台であれば、さすがにそのICレコーダーから最も遠い発言者の発言を明確に広くことは、(その距離にもよりますが)難しい場合が多いのです。しかし、たいていの団体交渉はICレコーダー1台、または、スマホ1台で収録したものが多いのが実態です。

    会社側であれば、労働組合側であれ、団体交渉の際は複数台のICレコーダーをご利用ください。

     
    団体交渉 議事録 作成のご利用例はこちら

  • 遠隔会議 デメリットはデカい!

    遠隔会議 デメリットはデカい!

    本日、少しイレギュラーな出張録音を行ないました。

    現場は、大学主催の会議。

    講演3件、報告5件、そしてパネルディスカッションと盛りだくさんの内容でした。
    タイトルは会議ですが、どちらかと言うと小規模の学会をイメージしていただいたほうが良いかもしれません。

    通常出張録音ですと、当社の担当者が大学に赴き、現地で収録と発言者の記録を行ないますが、イレギュラーだったのは、そう、コロナの影響で、今回の会議は遠隔(オンライン)で行われ、出席者250名が、すべてオンラインで参加するというものでした。

    かくいう当社の担当者も議事録担当として、オンラインで参加を致しました。

     
    参加をして気が付いたことは、全員が一堂に会して行なう会議と比べて、遠隔は目に見えて大きなデメリットがありました。

    感覚的なところですので、言葉で説明すると難しいのですが、

     
    盛り上がらない

     
    のです。

    全員が一堂に会する場合に出る熱気はなく、淡々と発表者が発表することを繰り返す感じ。
    なんとなく、セミナー動画を250名それぞれが観ているような感覚でした。

    もちろん、休憩中の雑談もありませんし、終了後のご飯(お酒)もありません。
    せっかく同じ研究分野の先生方が250人も集まりますので、いろいろと意見交換ができる期間なのですが、いかんせん、遠隔会議ですとそれもかないません。

    数人のちょっとした打ち合わせレベルであれば、ZOOMなどを使った遠隔で十分ですが、この種の大きな規模の集まりは、やっぱり一堂に会したほうが得るものが大きいように感じました。

     
    最近、働き方改革のことや業務効率のことがあり、

    「わざわざ集まらなくても、ZOOMで話したら十分じゃないか」

    という声をビジネス周りでよく聞きます。

     
    たしかに、現地に行かなければならないという時間コストや当事者のストレスを考えるとそれがなくなるのはメリットですが、しかし、上記に示したデメリットが大きすぎるように思います。

    実際、当社においては、もともとテレワークの人員を多く抱えている事業体であり、世間的にはコロナの事があってテレワークがすごく注目されていますが、当社は15年前からテレワークを採用しています。(ポッと出ではないんです、えっへん)

    その当社にして、遠隔会議のデメリットは本当に大きく感じました。

     
    このページをお読みの皆様におかれましては、ぜひ、コロナが収まって以降、遠隔会議に慣れてしまわないで、直接お会いして会議をし、そして会議後はお酒の席もご準備して、というふうに、月並みな言い方ですが、人と人との気持ちが通う環境をお作りいただきたいと思います。

    逆の言い方をすれば、コロナ後、少なからず遠隔会議を採用する企業が多くなるであろうことを想像しますと、貴社がその世間の「波」に乗らず、取引先などと直接会って話すことで、それだけで優位性が出るのではないかと思います。

    もちろん、すべてがすべて対面でという意味ではなく、ZOOMで話せば済むレベルのものや、正直時間をかけたくない取引先との話し合いなどは、遠隔にすることが効率的です。

    その選択をするためには、自身で、対面と遠隔を使い分けることを意識していただくことが必要になると思います。

    ご参考になさってください。

     
    出張録音からのテープ起こしサービスはこちら
    https://www.tapeokoshi.net/recording.html

  • Zoom会議に議事録の担当で参加する。

    毎年、大きな会議の件でご依頼をいただいている大学様からご連絡があり、

    別件の会議(これも大きい!)がZoom会議としてオンラインで行われることになり、その議事録の担当で当社が入ることになりました。

    役割としては、収録、発言者の記録、そしてもちろん話の内容の理解です。

     
    収録については、Zoomの録画機能を使えばいいのでカンタン、という単純なものではなく、会議当日、ネット回線が途切れたり、PCに何らかの不具合が発生すれば一発アウトですから、Zoomの録画機能だけに頼るのは、もってのほかです。

    あと、当社が把握している限りですと、Zoomの録画機能の音は、なんとなく密閉感があると言いますか、余白があると言いますか、うまく言えませんが、「なんかちょっとヘン」なんです。(もちろん議事録作成には十分使える水準で何の問題もありません)

     
     
    そんなこともあり、当社では、Zoomの録画機能と合わせて、かならずスピーカーから音を出して、その音を別の収録機器で収録するというダブル収録方式を採用しています。

    当社のスピーカーと収録用のマイクが高性能なために為せる業です。えっへん。

     
    なお、当社がZoom会議に議事録の担当として入ると言っても、画面のお邪魔になってはいけませんので、当社側の映像と音はオフにします。

    そして、収録した映像・音声、発言者の記録を元に、そのまま議事録作成に入っていきます。

     
    お客様は、文字通りただお待ちいただくだけで、完成した議事録が当社から(メール添付で)送られてくるという、なんとも便利な状況を享受できます。

    なにより、当社が、実質的にその会議に出席していますので、状況なども把握していますので、非常に高い精度の議事録を作成することができます。
    (もちろん、出席していなくても高い水準の議事録を作成できます。当社、高いレベルの議事録作成がウリです)

     
    皆様からのZoom会議の議事録作成のご依頼を楽しみにお待ちしております。

    会議の議事録はケバ取りがお薦めです。

    ケバ取りテープ起こし

  • マンション管理組合 総会 議事録の作り方

    当社では、マンションの管理組合の定時総会の原稿をよく作成してます。
    たいていの場合は、お客様(管理会社様)から音声をお預かりして、それを元に議事録を作成させていただくことが多いです。

    また、数こそそう多くはありませんが、当社の担当者が記録者として総会に出席し、収録をしながら発言者の名前などを記録していきます。

    ここでは、当社自身の備忘録もかねて、議事録に記載すべき項目など、サンプルというほどではありませんが、必要となる項目を列挙してご説明したいと思います。

    なお、おそらくこのページをご覧いただいているのは、管理組合の理事の方または管理会社さんでいらっしゃると思いますので、区分所有法など、マンション管理周りの法律のお話は飛ばします。また、管理規約もマンションごとで異なるため、ここでは標準的な管理組合の議事録のことに限定したいと思います。

     

    議事録のタイトル

    まずは議事録のタイトルです。たいていの場合は、

    令和2年度 ○○マンション管理組合 定時総会 

    というふうに、年度、管理組合の名前、定時の総会であること、を記します。
    当然これが臨時の総会であれば、臨時総会と記します。

     

    開催した日時

    そのままですが、総会を開催した日時を書きます。

     

    開催した場所

    開催した場所を書きます。たとえばどこかの施設を借りている場合は、施設名はもちろん、会場名(たとえば3階大会議室など)を書きます。

    会場名は絶対というわけではありませんが、あったほうが丁寧でよろしいのかなと思います。

     

    総会を運営した者

    これはいわゆる執行部の面々を書きます。議長(たいていは理事長ですね)、理事、監事がいます。
    また、書記と議事録署名人が指名されます。(よほどのことがない限り、了承されます)

    なお、管理会社が出席する場合は、ここで、議長が住民の皆様に同席していることを伝え了承をもらいます。(よほどのことがない限り、了承されます)

     

    総会が成立していること示す

    総会の出席者数、議決権行使書数、そして委任状数を書きます。
    1Fに商業施設などが入っている場合、その商業施設の運営会社も当然入っており、この場合、議決件数は自然人よりも多くなります。

    普通決議であれば過半数の賛成で可決、特別決議であれば4分の3の賛成で可決です。

    少し混乱しやすいのですが、総会に出席した住民の人数が母数ではなく、当該マンション全戸の皆さんが母数になります。といっても、出席せず、議決権を行使せず、委任状も提出せずという方も中にはいらっしゃると思いますが、しかし、とくに特別決議のほうは自分の住まいのことで大きな変化を見せる議案ですので、ごく一部とみていいでしょう。

     

    議事

    この部分が議事録の最も大切かつ大部分を占める箇所です。
    当日上程された議案について、議長あるいは他の役員が住民の皆様に説明をし、採決を取ります。

    書き方として、 第○号議案 というふうに、○の部分に数字を入れて、その内容を要約したもの(要約でなくとも発言通りのままでいい)
    を記載していきます。
    そして、承認をいただけたかどうかを記載します。

    これを上程された議案の分、繰り返し書いていきます。

     

    日付と署名

    最後に、日付を書き、議長および議事録署名人が署名・押印します。

     
     

    発言通りの議事録をお作りの場合は、

    ケバ取りテープ起こし

    が適しています。

    議事録として、きっちり仕上げまでご希望される場合は、

    要約テープ起こし

    が適しています。

    その他、お客様が手がける総会によって、どのような作りにしたほうが良いのかなど、事前にお打ち合わせさせていただきますので、ご遠慮なくご連絡ください。

  • 作成実績2016年8月 所感

     

    2016年8月の作成実績のうち、何個かをピックアップ。

     

    ○財務・人事に関する理事者会議

    出張録音の案件。たしか公認会計士さんなど、有識者の方多く。難しい内容ではあったが、組織運営をどのようにしていくか、人事の考え方は、など。

     

     

    ○言語研究のための会話素材

    かくいう私も言語学系が専門だった。だからこの分野は興味深い。いつか依頼者様に詳しく教わりたいものだ。

     

     

    ○上場企業の決算説明会

    ○寺社運営についての決算説明会

    決算説明会というのは、ある種機械的に無難になりがちになる。そりゃそうだ、滅多なことは言わないほうが得策。冷静沈着に、が大事。

     

     

    ○健康食品の利用者への電話インタビュー

    ○TVCM素材動画

    最近はホントいろんな健康食品が売られている。

    売り手側もかなりの広告費を使っているのではないだろうかと。

    そしてテープ起こしもその広告費の一部を担ってしまっているわけだが、自社内で原稿を作るより、よほど安価なので得策。

    Q&A形式のですます調が使い勝手が良い。

     

    インタビュー・対談テープ起こし

    https://www.tapeokoshi.net/interview.html

     

     

    ○映画史に関する役者へのインタビュー

    超大物の役者さんが取材対象。研究用。

     

    映画ではないが、どうやら初秋の一押しはこれらしい。いい内容過ぎて、覚悟しいや。

    映画『君の名は。』公式サイト

    http://www.kiminona.com/

     

     

     

    その他、空き家問題についての講演を作成しながら、私の空き地問題をさて、どのように片付けるか。楽しみすぎる。

     

     

  • 出張録音サービスができました!

    出張録音サービスができました!

     

    さて、それでは前回に引き続き、新しく始まったサービスのご紹介です。

     

     

    今回は、出張録音サービスです。

     

     

    以前からよくご要望をいただいて、とくにサービスとしては明示していなかったのですが、出張録音は行っておりました。

     

    ただ、どういう機材を使うのが円滑か、

    また、どういった手はずであれば依頼者様に便利よくご利用いただけるかが、

    まだ決まっていなかった節があり、実績を積み上げていく中で、これらが固まりましたので、満を持してのサービス開始になります。

     

     

    最大のメリットは、

     

    出張費が無料

     

    という点です。

     

    かなりお使いいただきやすくさせていただきました。

     

    北は北海道、南は沖縄まで、全国どこでも出張費は無料です。

    (テープ起こし料金はもちろん有料です。あしからず)

     

     

    実際のところ、交通費が結構かかって私たちに負担になるサービスですので、

    もしよろしければ次回以降も弊社をお使いくださいね。

    (と、強めにお伝えしておきます。 笑)

     

     

    ご利用にあたり、一定程度の制約があります。

     

    制約1 1週間前までにご予約ください。

    「今日の明日」というような、すぐの対応が難しいため、

    ご予約は1週間前までにお願いいたします。

     

    制約2 海外には対応していません。

    恐れ入ります、日本国内だけの対応になります。

     

    制約3 法人、各種組織・団体様に限ります。

    恐れ入ります、個人の方のご利用はお断りさせていただきます。

     

     

     

    その他、作成の手順といたしましては、

     

    1、出張録音をする。

    2、当該音声を弊社に持ち帰る。

    3、作成する。

    4、納品する。

     

    という流れになります。

     

    つまり、通常の作成過程のはじめの段階で、依頼者様が収録するのではなく、

    私どもが収録する過程が入ります。

     

    そのため、依頼者様は、

    何もしていただかなくても、会議や委員会に臨んでいただくことができます。

     

     

    よろしければご利用ください。

     

     

  • 行政と建設会社と地域住民 それぞれの気持ち

    行政と建設会社と地域住民 それぞれの気持ち

     

     

    たとえば、道路の大規模改修工事の説明会の原稿を作成する機会をいただきます。

     

     

    こういった工事の説明会では、スタンダードな出席者は、

     

    行政の担当者

    建設会社の担当者

    地域住民

     

    こういったところです。

     

     

    テープ起こし原稿を作成する際、どの方がどういった立場でどんな内容を話しているのかという点を押さえることが精度を上げるために重要なのですが、ここに注目すると興味深いことがわかります。

     

     

    まずは行政、国土交通省や県の担当者ですね。施主にあたります。

     

    次に建設会社です。行政から発注を受けて(入札の結果として受注して)、実際に道路の大規模改修工事を行います。

     

    そして最後は地域住民の方々です。

     

    行政が施主なのですが、実際に工事を行うのは建設会社になりますので、説明会の窓口といいましょうか、説明会をメインで取り仕切るのは建設会社になります。

     

     

    通常、説明会の最後に質疑応答ということで、住民の質問に対して、建設会社の担当者や行政の担当者がこたえるわけですが、興味深いのがこの質疑応答の場面です。

     

     

    住民の方々からすれば、道路を改修することは自分が意図したことではないので、騒音とか匂いとか、工事期間中、道路が使いにくくなるのがイヤだというのが働きます。

     

    だから、「こういうふうにしてください。ああいうふうにしてください。」という要望を話します。当然ですね。

     

    地域のためを思って話す方と、自分のためを思って話す方、その両方の気持ちを持って話す方で構成されています。

     

    そしてその要望の中身は、実際問題できることとできないことの両方があるようです。

     

    いっぽう、建設会社はといいますと、従前に立てた計画のとおりに進めたいと思うんだけど、地域住民の方の意見を聞いて、できるだけそれを反映しようとする。でもできないものはできないので、さあどうしたものかと頭を悩ませる。

     

    行政のほうは、淡々と現状を説明するに留める。

     

    どうやら建設会社と行政に働くのは、地域住民の方の意見を聞こうという気持ちと、無難にこの説明会および質疑応答を終わらせようとする気持ち。

     

    とまあ、こういうふうに三者三様の思いがありますので、なかなかしっかり合わせるというのは難しいんですよね。

     

    ですから、原稿を作成しているなかで、「ああ、この住民の方はホントに地域のことを考えていらっしゃるなあ」ですとか、「この建設会社の担当者さんは、真剣に質問にこたえていらっしゃるなあ」ですとか、「行政の方はホントに地域のことを考えているなあ」ですとか、その人ごとのそれぞれの気持ちがわかります。

     

    意図していないことで起きる、自分の身の回りの変化。

     

    こんなとき、人は防衛本能が働いたり、その意図していないことが起きることによって、もともとの自分をよりよいものにしようという気持ちが働いたりします。

     

     

    話の立場や内容を注意深く捉えますと、こういった人の心理がよくわかります。

     

     

    ちなみにこの手の説明会の内容は、登場人物がけっこう多いので(とくに地域住民の方々の人数)、内容もさることながら、話者の特定に注力することがポイントになってきます。

     

  • 口癖か、方言か、それとも・・・

    口癖か、方言か、それとも・・・

     

    ケバ取りテープ起こしの場合、口癖はケバに該当すると判断し、依頼者様からとくだんのご指示がない限り、カットします。いっぽう、方言は、その地方・地域の特有の言葉ですから、もちろん、話されているとおりに文章化をします。

     

    ですが、それが口癖なのか方言なのかが分からなかったら、というのが今回のお話です。

     

     

    先般、和歌山県の依頼者様からのご依頼の音源のなかに、

     

    「いましに」

     

    という言葉を多用される方がいらっしゃいました。

     

    文脈的に、どうやら口癖のようには感じるのですが、この言葉の意味が分からない。

    方言ではないかと、調べてみたところ、どうやら「いましに」という言葉は和歌山弁にはないらしい。

     

    というか、そもそも私も和歌山出身であるため、そんな「和歌山な私」が知らないと言うことは、よほど限られた地域でしか使われない方言なのではないかと、くるくる考えてみたわけです。

     

     

    作成した文章を見てみると、興味深いことに、「いましに」の前後で、同じ内容のお話を言葉を変えて話している場合が多いという規則性を見つけることができました。

     

    そこで私はひとつの仮説を立てました。

     

    仮説

    ==

    「いましに」は、直前または少し前に話した内容を、言葉を代えて同じことを話すときに、それらをつなぐ役割を持っている方言である。

    ==

     

     

    この仮説に従い、私は、「いましに」の意味を調べてみましたが、やはり見つかりませんでした。

    私の7年にわたる作成の経験から、インターネット検索で見つからない言葉は、そもそも聞き間違えているか、その言葉自体がもともと存在しないか、のいずれかです。

     

    ただ、私が聞いても、他のスタッフが聞いても、「いましに」と話している。そのため、聞き間違えているという線は消しました。

     

    そうなると、どうやらこの言葉自体がもともと存在しないのではないかというのが残りました。

    ただ、言葉が存在しないといっても、発言者が何度も何度も用いているため、明らかにこの言葉は存在する。そんなに何度も言い間違えたりはしないはずだ。もしかして、言葉を勘違いして使っていらっしゃるのか。

     

    なんて思っていました。

     

    ふと、原稿全体を見たとき、もう1つの規則性に気が付きました。

     

    この「いましに」に加え、どうやら、もう1つの言葉を、よく使っていらっしゃるのです。

    その言葉は、

     

    「今、言うた節(ふし)に」

     

    でした。

     

     

    これでピンと来ました。

     

    これは口癖だ。それも少し方言交じりの口癖だ。

    そして、「今、言うた節(ふし)に」と「いましに」は同義語だ、と。

     

    そうです。

     

    つまり、「いましに」は、「今、言うた節(ふし)に」をすごく早口で話している言葉であり、「今、言うた節(ふし)に」、つまり、「今言ったように」の方言だったんです。

     

    そういえば、「今、言うた節(ふし)に」という言葉、方言っていうほどではないかもしれませんが、和歌山のほうで、話す方がいらっしゃるにはいらっしゃいます。

     

    今回は、口癖であり、方言であり、そして早口でありと、3つの要素が入っていたことによって、なかなか強敵だったようです。

    でも結局、答えがわかって、原稿は納得の完成度。しっかり依頼者様にお届けいたしました。

     

     

  • 自己紹介をしていないのに話者が特定できる理由

     

    登場人物が不確定で、依頼者様にもどんな方がその会議に出席されていたかご存知でない場合があります。(とくに依頼者様が自社のクライアントから音源をお預かりした場合などがそうですね)

     

    では固有名詞はまったく表記することができないかと言えばそういうことでもありません。

     

    たとえば、こんな感じ。

     

    ==

    ――今日は、大変お忙しい中お時間をいただき、知事にお話をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

     

    よろしくお願いします。

     

    ――石原さんのあとを受けての就任ということですので、なかなか大変な部分もあるんじゃないですか?

     

    いやいや、そんなことは。ちょっとはあるかな(笑)

     

    ――やはりまずはオリンピック招致のことについてお伺いしたいのですが。

    ==

     

    という会話を見たとき、とくに回答者のお名前は出てきていませんよね。

    でも、誰だかスパッとわかります。そうです、現東京都知事である猪瀬直樹氏ですね。

     

    とまあ、これは簡単すぎる例ではありますが、いずれにしても、音声で話されている会話にその話者のお名前が出てこなかったとしても、話者の固有名詞を特定することができます。

     

    その方法としては、会話の中でその方の周辺情報が一定程度出てきているはずですので、それを精査し、つきとめるという方法です。

    つまり、「音声で確認が取れない=不確定」ではなく、話の中身を精査し、その話の内容から個人を特定するということになります。

     

    これは回答者が、たとえば知事さんのような全国的に知名度のある方じゃなくても、特定は可能です。

     

    ○○病院の看護部長

     

    という表現が出てきたとき、一般的理解として、看護部に部長は一人しかいません。ですから、○○病院のウェブサイトで組織を確認し、看護部長である方のお名前を記載することができます。

     

    といっても、この方法は万能ではありません。わからない場合もあります。

     

    先の病院の例で言いますと、看護師さんの場合です。

    看護部長は、ひとつの病院、ひとつの組織で1名しかいませんが、看護師さんは大勢いらっしゃいます。

    この場合は、なかなか特定が困難です。

     

    もっとも顕著な事例は、いわゆる「一般の方」という括りに入る方々です。

     

    といっても、我々もひとたび職務から離れれば「一般の方」です。

     

    テープ起こしと翻訳を専門にしているタイナーズの代表者

     

    といえば、まさしく私のことですが、

     

    隣近所に住んでいらっしゃる男性の方

     

    だけですと、これではわかりませんね。

     

     

    そういう意味では、ご依頼内容によって特定ができる場合と困難な場合とで分かれます。

     

     

     

  • 会議や理事会で「に関しましては」って連呼する方の特徴は。。。

     

    タイナーズでは、翻訳業務も行っておりまして(英語のみです)、翻訳原稿を精査していて、たまたま「~に関する」という言葉を調べる機会がありました。

     

    とくだん珍しい言葉ではなく、ホントそのまんまで「~に関係している」という意味なんです。で、興味深いのは、この言葉は、ある主体があったときに、その主体をぼやかせてしまうのではないかということが分かったんですよね。

     

    つまりですね、

     

    アベノミクスの三本の矢について、ご説明します。

     

    という文章と、

     

    アベノミクスの三本の矢に関して、ご説明します。

     

    という文章。

     

    これらを見比べてみてください。

     

    なんとなく違いって分かるでしょ?

     

    「~について」を用いているほうがアベノミクスの三本の矢のことそのものを説明する印象を受けます。いっぽうで、「~に関して」のほうは、アベノミクスの三本の矢のこととその周辺のこと(つまり関連すること)も含まれているような印象を受けます。

     

    翻訳の場合は、ここから意味を熟考していくわけですが、調べていくうちに面白いことが分かったんです。

     

    会議や理事会のテープ起こしの音源で、計画や議案の説明をする方が「~に関しましては」「それに関しては」などなど、「~に関する」という意味合いの言葉を口癖のように連呼される方がいらっしゃるんです。

     

    テープ起こしにおいて、「たとえば~、たとえば~」「~ですね、~ですね」など連呼をするいわゆる口癖というのはよくあります。それらを文章化しないのはケバ取りテープ起こしというわけですが、今回、「~に関する」の意味や使い方を調べていて気が付いたのですが、もしかして、「~に関する」という意味合いの言葉を連呼される方って、もしかしてご自身の説明や発表に何らかの理由で自信がないのでは?ということなんですよね。

     

    同じような使われ方では、「~だと思います」というのもそうですよね。

    決して断定できていないんですよ。要は核心についてぼやかせてしまっているということなんです。

     

    よく何かを発注する際に業者さんに電話したときにも、やたらと「~だと思います」という担当者の方っていらっしゃいますね。「だと思いますって、あんたのところの商品(サービス)だろうよ」なんて突っ込みを入れてしまいそうになりますが、また、うちの職員にもホントに断定できないこと以外は、しっかり断定する形で依頼者様と話しなよと言っていますが、いずれにしても、これらのぼやかせる言葉というのは、ホントに断定できないこと以外の場面では、自分に自信がないときに無意識的に出る表現なのではないかと思うわけです。

     

    となると、他の連呼される口癖にも、それを連呼するということは何らかの無意識的な理由がありそうな気がしますね。

     

    「たとえば~、たとえば~」なんていうのは、口癖のもっともスタンダードなものですが、そもそもたとえていない場合が多いんですよね(笑)

     

    ということは、たとえようとしなければならない無意識的な理由がそこにはあるはずなんです。

     

    って、こんな興味深いことに気が付きましたので、この点に注目しつつ作成に携わってみようと思います。何かひとつの結論が出ましたらお知らせしますね!