2023/08/14
インタビューは起承転結を意識して聞いてはいけない。
なぜなら、
1. 真実の捉え方が偏るからです。
起承転結は物語や論文などのストーリーテリングや論理的な構成に適していますが、インタビューは実際の人々の意見や感情、経験を探るものであり、その内容は必ずしもこのパターンにはまらないことが多いです。このフォーマットを強制的に当てはめると、インタビュイーの言葉や考えを歪める可能性があります。
2. 自然な対話の流れが失われるからです。
インタビューはコミュニケーションの一形態です。起承転結の構造に固執することで、自然な対話の流れが失われ、インタビュイーとの信頼関係の構築が難しくなる可能性があります。
3. 新しい情報や視点の発見が難しくなるからです。
もしインタビュワーが起承転結の構造に固執する場合、インタビュイーが提供する予期しない情報や視点を見逃す可能性が高まります。インタビューの目的は新しい情報や視点を探ることであるため、これは大きな損失となり得ます。
4. 多様性が欠如するからです。
人々の経験や意見は多様です。起承転結の枠組みに固執することで、多様性を損ない、一部の声しか拾えなくなる恐れがあります。
5. 誤解が生まれるリスクがあるからです。
インタビュイーの言葉を起承転結の枠組みに当てはめることで、その言葉の真意を誤解するリスクが高まります。
インタビュワーが主役ではない
それに、起承転結という構成を決めて質問しようとすること自体、インタビュワー側が主体になっており、インタビュイーの話を聞こうとする姿勢ができていない証左です。
インタビューは基本的にインタビュイーの意見や感情、経験を探るものであり、その人の声を前面に出すことが重要です。以下の点で、起承転結の構成を前提に質問を組み立てることが問題点として挙げられます。
インタビュワー主体の質問:
起承転結の構成を意識して質問することは、インタビュワーが既にある一定の筋書きやストーリーを持っていることを示唆しています。これは、インタビュワーが既に何らかの結論や答えを持っていることを意味する場合があり、インタビュイーの自由な発言や意見の発展を妨げる可能性があります。
インタビュイーの声の抑圧:
固定されたストーリーの構成に当てはめようとすることで、インタビュイーの真の意見や感情が抑圧される可能性があります。これは、インタビューの真の目的、すなわち「インタビュイーの声を伝える」ことと相反します。
信頼関係の損失:
インタビュワーがある特定の答えを求めて質問する姿勢は、インタビュイーからの信頼を失う可能性があります。これは、オープンで真実の情報共有を難しくする要因となり得ます。
フレキシビリティの欠如:
起承転結の構成に固執することで、インタビューの進行中に出てきた新しい情報やトピックに柔軟に対応することが難しくなります。
インタビューはある種の「発掘」のプロセスです。インタビュイーの言葉や意見、感情を正確に捉え、理解し、伝えることが最も重要です。また、インタビューの中で価値があるのはインタビュイーの話でありこれを中心に据えるべきです。起承転結のような特定のストーリーテリングの構造に固執することは、この目的を達成するのには必ずしも適していないと言えます。